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プピリィの禁書目録~その5~

「カーラさん。この薪は何処に置けばいいかな?」
カーラは料理をする手を止め白い指を頬につけ悩む素振りを見せた。
「うーんと、暖炉の薪が切れてきたからそこに置いてくれるかな?」
にっこりを微笑みスープの味見をする。
そんなやり取りをしているとユズは心が温かくなった。


ユズが遺跡から落ちてから一ヶ月が経った。
あれから記憶が曖昧で、なぜ海底遺跡にいたのかがわからなかったし、第一なんで記憶を失ったのかもわからない。
カーラが言うには遺跡から落ちた衝撃で記憶を失い、そのまま夢遊病者のようにここまでたどり着いたのではないか? ということらしい。
「ん、まあいいっか」
とユズは誰にでもなく呟く。
もともとあまり起こったことを気にしない性格だったし、まずは記憶を完全に取り戻してから考えよう。
暖炉にある灰をバケツに入れて、新しい薪を置いた。
するとキッチンから透き通るような声が響く。
「ユズさーん。ご飯が出来ましたよー。今日はビーフシチューとユズさんが好きな串焼きです」
「今行くよー。薪を全部置いたらさ」
カーラはやさしい子だなあと改めてユズは思う。見ず知らずの俺にこんなに尽くしてくれるんだから。
そのためにもこの受けた恩を返さなければ。

薪を置き終わったユズがキッチンに入ると白いテーブルに置かれた美味しそうなシチューや綺麗に並べられた串焼きが目に入った。
「いつも思うんだけど、カーラは料理が上手だね」
ユズがそう言うと、カーラはルビーのように頬を染め恥ずかしそうに「そんなことないです」と言ったのでユズは少しうろたえた。
か、かわいい。
「い、いやほんとうに上手だよ」
幸い、内心少しうろたえてしまったことは気づかれなかったようだ。
「で、どうですか? ビーフシチューの味。結構高いお肉を使ったんですが、うまく使えたのか心配で」
ユズは椅子に座りビーフシチューをスプーンですくい口に入れる。
「う、うまいよ! やっぱカーラは料理の天才だ!」
「よかった。美味く出来ていたみたいですね」
それから二人は取り留めない会話をしながら料理を口に運ぶ。
カーラはあまり食事を食べないので、ほとんどユズが食べるのだが。
――さて、どうしたものか。
料理を食べつつユズが考えることはここが何処なのかと言うことだ。
カーラが言うにはここはトレドという所らしいが、聞いたことも無い。ただたんに記憶が欠損しているだけなのかもしれないが、記憶が曖昧なのは記憶を失った出来事の前後とそれに関わる物事だけ。
なので地名の記憶は失ってないと思うが……。
「ユズさん? どうしました? 料理うまく作れてなかったでしょうか」
「いや、違うよ。ちょっと考え事を」
「考え事?」
ユズは少し考える振りをしてカーラに言った。
「カーラはここの場所をトレドって前言ったけどさ、もうちょっと詳しいことわからないかな?」
カーラは申し訳なさそうに「私あんまりこの町以外のことを知らないから……。力にならなくてごめんなさい」
と言ったが、何かを思い出したらしく席を立ちチェストの引き出しを開けて地図のような物を取り出した。
「この地図、隣のカリホおばさまから貰ったの。私文字が読めないから仕舞っていたのだけれど、ユズさんなら読めるかもしれません」
ユズは地図を大事そうに手に取り、地図を見た――が読めない。
「カーラ、この文字俺も読めないよ。ジュノ公用語じゃないのかい?」
「じゅの? なんですか、それ。私そんな言葉知らないです。でもこの文字はこの町の文字だけど……どういうことかしら」
何がなんだかわからなかった。ジュノ公用語じゃない国なんてあったか?
「取り合えず明日、カリホおばさまに地図を読んでもらいましょうか。カリホおばさまはとっても物知りだし、もしかしたら何かユズさんの国に帰れる方法がわかるかも」
まあ、いいさ。取り合えずカーラのいうとおり、そのカリホおばさまとやらに色々聞こう。
「でも、おばさまの家までチョコボで2時間ほどになりますから、少し早起きになりますけど」
「チョコボで、に、二時間!? さっき隣って言ってたような」
「ええ。一応隣、です。」
そうか。カーラが羊のミルクやチーズを売りに町に行ったときは4時間ほど帰らなかったっけ。
「わかったよ。早く寝ることにする」

ユズはベッドに横になり、あの地図に書かれていた文字のことを考えた。
あれからなぜかあの文字のことが頭から離れないのだ。
いったいなんでだ? 全く覚えが無いと思ったが覚えがあるような気もする。
窓の外から見える満天の星空を見ながら思考をめぐらせる。

「そうだ……!。あの文字俺は昔見たことがあるんだ」
まだユズがスクールに居た時、遠足で行った海底遺跡。
そこで俺は見たんだ。この文字を。
――そう。禁書目録だ。

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